あんたが炎を去ってから、
あたしの心は欠けたまま。


03.荒野


あいつの便所サンダルが、ない。
まさかとは思うけれど、あのサンダルでS.F.本戦へ?
無沈着なあいつのことだから、それは大いにあり得るのだけど。


あんたの影がない。
あんたの声が聞けない。
あんたの身体に触れられない。
――それがこんなに苦痛だなんて。
あんたに依存してるだなんて思いたくないけれど、
いつもの強がりでごまかせないほど、あたしはあんたを欲してる。


あたしの心は、荒れている。



アメリカ、パッチ村。
久々に会ったあんたは、やっぱりあのサンダルで。
やっぱりユルくて。
だからあたしは安心した。
ひび割れた心に、水がしみこんでいくように、ほっと、あたたかな気持ちがひろがっていくのを感じる。
荒れた心が、欠けた身体が、負けた強さが――
すべてが、取り戻された。


あんたが炎を去ったとき、あたしは見送らなかった。
あんたに抱かれた布団の中で、あんたに抱かれる夢を見た。


今度は夢でなく、あんた自身を…――。
あんたのぬくもりをちょうだい?


「葉…っ」
「…アンナっ」
部屋の中に、お互いの名前を呼び合う声が響く。
意識が遠のきそうになるほど、熱く抱かれた。
久々の感覚。
一度身体を重ねたきり、あんたは去ってしまったから。


欠けていた時を取り戻すように、あんたは夢中であたしを抱く。


ねぇ、葉。
荒れたあたしの身体に、
花を咲かす、あたたかな雨を降りそそいで。
あんたで満たして。
あたしを犯して。
荒野に、花を咲かせて。
――あんたの雨で。





2003.6.11




懺悔。

友人一同にエロだエロだと罵られた一品。

”花を咲かす雨”が何なのかを考えると、仕方ないですが。
(あえて言う勇気も持ち合わせておりませんけど。 )

わたしは、花くんはパッチ村再会直後と考えてるんです。ええ。時期的に。
まぁいつの分の夜のおやつでも構いませんが。(笑)