アンナに、子どもができた。
オイラには思い当たる節が多すぎて、
いったいいつの子なんてわからねぇけど。
11.柔らかい殻
聞いた瞬間、今更ながらに頬が熱くなって。
いろんなことが浮かんだ。
やっぱ早すぎたかな、とか、
男の子か女の子かどっちだろう、とか、
ばあちゃんに怒られるかな、とか、
もっと気を付けてやってれば良かった、とか、
名前はどうしようか、とか、
――アンナは怒ってるかな、とか。
でも、口を衝いて出たのは
「ありがとう」
だった。
オイラの子を、ありがとう。
オイラを愛してくれて、ありがとう。
色々浮かんだけど、やっぱ嬉しい。
アンナは頬を染めて、「あんたらしいわね」と言った。
見たところ怒ってもないし、うろたえてるわけでもないし――…
いつものアンナで、ホッとした。
ついでに言うと腹もぺったんこだったし、本当にいつものアンナと変わらんのに、
アンナはもうひとつの命をその腹に抱えてんだと思ったら、ひどく不思議な気がした。
オイラとアンナの血をその身に引き継ぐ命。
オイラとアンナの子。
これは……うん。
「泣けるな」
アンナは軽く笑った。
「そうね」
「おお」
「けどこれから大変だわ」
「……おお」
よくよく考えりゃオイラまだ結婚できねぇし。
子育てする自分の姿なんて、これっぽっちも浮かばねぇな。
「あたし、母親なんて知らないしね。
考えてもみなさいよ、あたしの参考って木乃よ?」
アンナは真顔で言う。
「せめて茎子の方がいいのかしら」
「いやぁ…母ちゃんもなかなか放任主義だしな」
それを言うなら麻倉全部だが。
「まぁなんだっていいけどな」
腹ん子が元気に育ってくれりゃ……と、一端の父親みたいなことを思ってしまう。
うん、でも、父親なんよな。
不思議だな。
アンナも母ちゃんなんだ。
「あたし、こんなに早くあんたの子を産めるなんて思ってなかった」
アンナがそう言ってオイラの肩にもたれかかった。
オイラは責められてるんかと一瞬ひやりとするが、アンナの表情は穏やかで、
オイラも見たことがないくらい、柔らかい表情をした。
「アンナ…」
「嬉しいわ、凄く」
そう言ってそっと目を閉じる。
「……おお」
そうだな。
嬉しいな、凄く。
アンナの腹に触れる。
ここで息づく命。
アンナという柔らかい殻の中の、
未だ見ぬオイラとアンナの子。
ありがとう。
オイラの子をありがとう。
オイラを愛してくれて、ありがとう。
オイラの愛を、受けとめてくれてありがとう。
ありがとう、生まれてくれて、ありがとう。
2003.8.18
懺悔。
未だ花くん熱冷めやらぬようで。
突発的に書いてしまったもの。
この幸福者め、麻倉葉!(笑)
ありがちなネタになったと思いつつ、まぁ幸せそうなので良いです。
つーか、いつ発覚したんでしょうねぇ。(笑)