僕には不可解なことが色々あって。
そりゃ世の中には解明できない謎とか、理解できないことなんて山ほどあるけど。
どっちかっていうと、そんなごたいそうなものじゃなくて。
それでも、僕には気になって、わからないことが、よくある。
 
013.深夜番組
 
いつもの様に屋上でのお弁当。
いつものことだけど、いつもと違うこともある。
 
ユルイ葉くんは大きくあくび。
それはいつものこと。
でもアンナさんまで、小さくあくび。
――これはどういうこと?
 
「何かふたりとも眠そうだねぇ」
 
僕が呟くと、ふたりは僕をチラリと見て、ふたり目を合わせて、少し、照れた顔をした。
「いや、オイラたち今ちょっとハマってて……」
「?」
「続けてするなんて卑怯だわ」
「??」
――続けてする? 何を、ってゆーか、
「何の話?」
「いやいや、気にせんでくれ。オイラたちの責任だから」
「は? 何か責任を伴うことなの?」
僕の言葉に、葉くんは詰まった。
「いいでしょう、余計な詮索するんじゃないわよ」
アンナさんからのキビシイお言葉があったので、僕はそれ以上聞けない。
 
眠い…ってことは、夜眠るのが遅かったってこと?
何かをして?
何か……。
 
僕はそこまで考えて、ハッと固まってしまった。
 
「そっ…そうだよね、君たち許嫁だもんね!」
ハハハと笑って僕は自分の弁当を片づけ出す。
「?」
「まん太?」
「いや、ごめん、うん、本当にごめんねっ」
 
そう言ってそそくさと立ち上がる。
僕はマトモにこのふたりの顔が見れなかった。
ふたりは許嫁なんだ、そうだよ。
普段はアンナさんが葉くんを馬車馬の如く働かす…いやいや、
厳しい修行をつけているから、忘れちゃいそうになるけど。
 
「僕、教室に戻るよ」
「ん、そっかー??」
「うん」
 
僕は慌てて逃げ出した。
屋上のドアが重くバタンと閉まる。
階段を下りながら、僕はホッと息をついた。
 
 
僕には不可解なことがある。
いちばん身近なんだけど、分からないこと。
 
――このふたりって、やっぱりそうなの??
僕の知らないところで、いったい何が繰り広げられているの??
気になるけど、とても聞けない、
僕にはわからないことが、頻繁に起こる。
……あまり僕を悩まさないで欲しい。
知りたいのに知れない謎、聞けば教えて貰えるかも知れないけど、聞けないこと。
これは拷問に近い、と僕は思いながら、ため息をついた。
 
 
 
「なんだったのかしら、まん太」
「んん? わからん」
「ちょっと。何で膝の上で寝るのよ」
「いいだろー。オイラ眠い…」
「まぁ…仕方ないわね……」
「3夜連続で、全6話の『スター・ボーズ』シリーズを2本ずつなんて…卑怯だよなぁ」
「下らないなんて思いつつ、ついつい見ちゃうのよね、あのシリーズ」
「今夜で終わりかぁ」
「深夜番組なんて…見るもんじゃないわ」
 
ふたりであくびをしながら、そんな会話がなされていたことを、僕は知らない。
僕が自分の誤解に気付くまで、まる3日かかった。

2003.12.13 (初稿:2003.11.20)











懺悔。


勘違いまん太な話。(笑)
下らなくてごめんなさい……。

あまりに下らなかったため、一度書いたものの闇に葬ってました。(笑)



因みに『スター・ボーズ(☆のハゲ)』シリーズは約15年の月日をかけて製作された超大作。
全6話で完結。
深夜番組で何度も放送され、ついつい見てしまう恐ろしい作品。
夫婦も例に漏れず、しかも家にビデオデッキがないために録画もできず、
3夜連続深夜2時まで起きて見るハメに。


−『スター・ボーズ』シリーズ概略−
悪の提督、ダーツ・モウによりハゲに悩まされる人々を、
ツール・ピカリウォーカーが救い出す物語。
延々と繰り返される脱毛地獄に、果敢に立ち向かうツール。
しかし彼はダーツ・モウの息子であることが第6話で判明。
壮大なるハゲと親子の物語。


↑こんな下らない設定まで考えてしまいました。

…ってか、こんなんにハマってんだ、麻倉夫婦……。