クリスマスなんて大嫌い!!なんちゃって![]()
「あんた、なに拗ねてんのよ」
あたしはテレビを眺めながら、横目に映る寝っ転がった葉に声をかけた。
「…別に拗ねてねぇよ」
「ウソ」
テレビの中は「クリスマス」だらけ。――下らない。
「あんた、そんなにクリスマスがしたかったの?」
あたしは葉の方に向きなおった。
「だから拗ねてねぇよ」
「だったら何なのよ、その面白くなさそうな顔は」
眉間に少しだけ寄ったしわに、あたしが気付かないはず無いじゃないの。
「仕方ないでしょ、ケーキだとか鳥だとか、お金のかかるモノばかりじゃないのよ」
「いや、だからいいんだって、本当に」
眉間のしわに気付いたのか、葉はわざとらしく笑ってみせるけれど、心の中にまだ煮え切らないモノがあることくらいわかる。
「何よ、言いたい事があるならハッキリしなさいよ」
「……何もない。それよかオイラ、風呂入ってくる」
「…」
「一緒に入るか?」
「バカ言ってんじゃないわよっ!」
「はは」
葉はユルく笑って風呂場へ向かった。あたしはそんな後ろ姿を見ながら、腹が立って仕方なかった。――何だってのよ、あいつ。うちにクリスマスの習慣がないなんて毎年の事じゃないの。出雲でだってした事ないって言ってたくせに。
サンタクロースなんて論外だわ。知らないおっさんが勝手に部屋に上がり込んで枕元に忍び寄るなんて、考えただけでキモチワルイじゃない。
――そこまで考えて、言い訳している自分に気付いた。もちろんどれも本心だけど、そのひとつひとつを集めた全ては、葉への言い訳だった。少し寂しげな顔をさせた事を、後悔しているんだわ、あたしったら。
バカバカしい。何よ、何であたしがクリスマスごときで後悔しなきゃならないのよ。
テレビから流れるクリスマスソングが、赤色が、あの髭はやしたおっさんが、すべてが憎く見えた。
あたしがお風呂から上がった時、既に葉の姿は居間になかった。さっさと寝に行ったのだろう。
ふん、別にどうだっていいわ。拗ねてるヤツは放っておけばいいのよ。
そう思っていたはずなのに、二階に上がれば、あたしの足は葉の部屋の前で止まっていた。
こんなケンカとも呼べないような半端な状態で寝るのも鬱陶しい話だ。思いっきり言い合ってケンカする方がまだマシよ。枕元に靴下でも置いていたら笑ってやるんだから。
「葉、入るわよ」
返事を待たず、あたしはふすまを開けた。
部屋の真ん中に敷かれた布団が盛り上がっている。あたしは構わず部屋に入り、ふすまを閉めた。どんな風にしているのか確かめてやろうと布団に近づく。枕元に靴下はなかったけれど、いつも通りボブのレコードが散乱していた。
「葉…」
そっと身体を寄せ、息が吹きかかるほど近づいてから、一気に布団を剥いだ。
「うおっ」
あたしが葉の身体の上に馬乗りになると、葉は観念した様にあたしに顔を向けた。
「アンナ…どうしたんよ」
「それはこっちのセリフよ。クリスマスくらいで拗ねないでよ」
「や、だからこれは本当に拗ねてるわけでは……」
「だったら何。言いなさいよ、あたしがわざわざこうやって聞きに来てやったんだから」
「そりゃお前が勝手に…」
「なに」
葉はあたしの声と視線にビクッとおびえる。
「だ、だからその……」
葉は言いにくそうに、少し視線をそらして言った。
「お前は、クリスマスとかどうでもいいんだろ?」
「……まぁね」
それがどうしたって言うのかしら。あまりの言葉に唖然とする。
「だからって……あんた、それで拗ねてた訳じゃないでしょ?」
「違う。――オイラさ、結構そういうのに便乗して楽しむのも悪くねぇって思うタチだからさ…」
なにそれ、下らない。
「あたしに構わず楽しめばいいじゃない。そりゃケーキだとかは買わさないけどね、お金の問題だから」
「いや……その、オイラひとりっつうのも……ちゅーか、オイラだけではどうにもならんことも…あってだな、その…――」
しどろもどろになる葉の様子に、やっと言わんとする事が分かる。
「……何よそれ、いやらしい」
「う…」
葉は赤くなって抗議した。「だからとっとと寝たんだろーが。なのにお前がのこのこと…」
あたしの睨みに気付いて、葉が口をつぐむ。
「……ほ、ほら、分かっただろうが、もう」
部屋戻れよ、と返そうとする葉の襟首を掴んで、あたしは言った。
「気が変わったわ」
「はぁ?」
「あたしも甘いものが食べたくなった」
葉の瞳をのぞき込む。
「あまい…もの?」
「あまいもの」
見つめ返す葉に、うなずき返す。
「…なんだよ、コンビニでも買いに行けってのか?」
口ではそういう葉だけれど、瞳の中には隠しきれない期待が見え隠れしている。
「もっと甘いものよ…」
そう言ってあたしは、葉の唇に自分のそれを押しつけた。暖かくて、少し湿った感触に触れ続けていると、いつの間にか熱くてねっとりとしたものがあたしの口内をさまよい始めていた。探る様に、試す様に出たり入ったりを繰り返す葉の舌にたまらなくなって、あたしは離れようとしたがなかなか放してくれない。
「ん……ぅっ」
「……」
ぎゅっと葉の襟を握りしめると、そのままゆっくりと押し倒された。ようやく唇が離れる。
「アンナ…その、いいんか、な?」
「……たまには……世間のイベントに便乗してやるわよ」
「ウェッヘッヘ、そっか」
葉は嬉しそうに笑って、もう一度あたしと唇を重ねる。甘いものを貪りあいながら、互いの着ているものを脱がしあった。
「知りもしないおっさんから貰うプレゼントよりいいでしょ?」
そう言ってやると、「違いねぇ」と葉は笑った。
葉に抱かれながら、来年はもう少し優しくしてやろうかしらと、少しだけ甘い事を考えていた。たまにはいいわよ、クリスマスなんてモノも。
甘い痛みが走り抜け、あたしは小さく嬌声をあげた。
懺悔。
すみません。いくら何でもこのタイトルは……(笑)
クレイジーケンバンドより。「クリスマスなんて大嫌い!!なんちゃって
」
誰が言ってるんだ、このセリフを!!(笑)
ギャグです、もうギャグ。
まぁ、満喫したねって話です。
甘いのが無かったのでギリギリ甘い話。(ちゅーか微エロでゴメンなさい。)
四コマ([きもだめし])のあとのつもりで書いたんですけど…ね……。
(武井先生ごめんなさい。)