気になるヒトミ

 少し暑くなってきた夜、オイラたちは互いに裸のまんま布団に寝転んでいた。
 というのもさっきまで、その、そういうことしとったわけだから、疲れてんのは当然で…。
 オイラはと言うと、何だか変に目が冴えていて、横で小さく寝息をたてるアンナをボーッと眺めてた。当然アンナの瞼は閉じていて、いつもオイラをきつく睨んだり、甘く誘ったりする瞳が見えない。
 寝顔も可愛いんだが、少し物足りない気がしてしまう。
 ――こうして眺めると、アンナって睫毛長いんだな…。
 この顔に一目惚れしたんだよな、と何となく懐かしく思い返した。嬉しいばっかの思い出じゃないけど、嬉しくないはずもない。アンナの顔だけじゃなく、こんなに惚れちまったのはたぶんすぐだったんだろう。
 睫毛がわずかに揺れたのを見て、起きたんかと一瞬疑ったが、そうではないらしい。
 口がしどけなく開いていて、そこから静かに息が漏れてる。
 ここに自分の唇を重ねたり、こっから甘い声が漏れたり、ここでオイラのを気持ち良くしてくれたりするんだとか考えたら、オイラの頬がかぁっと熱くなった。
 「ん…」
 もぞもぞとアンナが動いて、顔半分が布団の中に隠れちまった。
 ちょっ、と寂しい思いを口に出したが、改めて見ればアンナのもち肌のおでこが、オイラのすぐ傍にきていた。
 見た目で柔らかそうなそれは、事実そうだとオイラは何度も触れて知ってる。
 手をのばしてちょっと触ると、さっきまでの行為のせいか少し汗ばんでいた。細い髪が汗でおでこにはりついていて、それがちょっとエッチな感じがして、そんなこと考えとる自分がやけに恥ずかしくなった。
 …こうして見てるだけで惹き付けられちまうってのもなんちゅうか、情けないというかヨメ馬鹿っちゅうか…。
 「あんた、うるさい」
「うえっ!?」
 寝ていると思ってた相手の声がして、オイラはとびあがりそうになった。
 「起きてたんかアンナ!? ってかオイラ声なんか出してねぇぞ!」
「あんたの鼻息がうるさくて起きちゃったわよ…」
「はな…っ!?」
 それなりにショックを受けつつ、オイラはさっきまで瞼で隠れていたアンナの瞳を眺めた。きつく睨まれたが、ふっと表情が緩んで、同時にアンナの頬は赤くなってしまった。
 「…嘘よ」
「?」
「あんたにそんな風にずっと見つめられてたら、寝られるわけないじゃない…」
「…っ」
 か、可愛い…でなくて!
 「す、すまん」
「フン」
 そんな風に冷たい言い方をしながらも、アンナはオイラに抱きついてきた。
「…?」
 照れながら慌てると、アンナが顔をあげてオイラを見た。
 「見てるだけじゃなくて、触ってよ」
「…!」
 思いもかけない言葉に、オイラは頬が熱くなる。アンナもあんまりオイラに顔を見せないためか、もっときつくひっついてきた。――そんなことされると、胸があたるんだが…。
 「あんたひとりいい思いなんかさせてやらないんだから」
「…おお」
 何か思わぬ方向にイイ思いをしとるんだが、そこは敢えて黙っておく。
 照れるアンナのおでこに長いこと口付けて、ギュッと抱き締めた。
 「…おでこ好きなの? あんた…」
「ん〜? まぁアンナのやらかい肌ならどこでも好きだけどな」
「ばか」
 ギュッとアンナが抱きしめ返してくれたから、もう一回力を込めて抱き締める。
 「黙って見つめるだけなんてフェアじゃないことやめてよね」
「おお」
 
"恥ずかしいんだから"
 
という呟きは、残念ながらオイラの口ん中に消えちまっていた。




2004.6.18







懺悔。

魅惑の企画もち肌同盟に参加させて頂いた話です。
もち天…か?と首を傾げたくなりますが、一応もち天なんです。
ホラ、旦那がしきりにおでこに口づけを…!(そこだけ)

楽しい企画に参加できたうえ、
この話は主催者であるちい姉さんに漫画にもして貰えたという、
幸せなやつめこんにゃろ!な作品です。(笑)

またこういった企画に参加できる事を願いつつ…。

…しかし毎回、わたしは企画参加者になるととにかくタイトルに困ってしまうらしい。(笑)