夏休み 3



 「葉くん、大丈夫?」
 まん太が、パラソルの下、浜辺で膝を抱えて座るオイラに心配そうに声をかけてくれた。
 「おお…」
 とりあえず、アンナのいない今は。
 もうオイラは自分が情けなすぎて、まん太に合わせる顔もない。何でオイラはこうなんよ……。
 「あんまり気を落とさないでよ、葉くん」
 オイラからだいたいの話を聞いたまん太は、そう言って慰めてくれる。
「まぁそれだけ君がアンナさんを好きってことじゃないか。とりあえず海で遊んで、その…あの……そういうこと、忘れようよ」
「おお……」
 オイラは力なく立ち上がった。確かにこういうときはからだを動かした方がいい…ような気がする。こうして浜辺で貝のようにジッとしてるよりは、はるかにいいに違いない。
 「あ、竜さんたち姿が見えないと思ったらもう来てたのか」
 まん太が、海の中で遊ぶ竜やチョコラブを見つけて言った。しかしあれは……遊ぶと言うより……むしろ競泳か?
 やたら水しぶきを上げて、二筋の線が浜辺からどんどんと遠ざかっている。ファウストは用意していたらしいストップウォッチを抱えていた。ファウスト…あんま車椅子で浜辺には来ん方が良かったんじゃないかと……。
 「ああ、葉クン、まん太クン」
 ファウストがオイラたちに気付いて笑顔で手を振った。
 「竜さんたち、何してんの?」
「勝負だそうデス」
「まんまだな」
 オイラは二筋の線を眺めた。もうこっちに向かってきている。どうやら竜の方がリーチ(=リーゼント)が長い分、有利そうだ。
 「おもしれぇなぁ、あいつら」
 オイラはしぼんでた気持ちも少しだけ回復して、自然と笑いがこみ上げてきた。
 勝負は竜に有利だったと思われたが、意外なことに勝者はチョコラブだった。……っつーのも、竜は長すぎるリーゼントがアダんなって、ゴール手前で砂に突き刺さっていたからだ。ここまでくると笑っていいもんなんかも分からず、オイラとまん太は慌てて竜を助け起こしてやる。
 「あー、びっくりした」
「大丈夫デスカ、竜クン」
「面目ねぇっす……」
 砂からリーゼントが出てきてホッと一息つく。まったく、信じられんことが起こるな。無事だったんだからいいけどよ。
 「リーゼント、伸ばしすぎなんじゃねぇのか?」
「あはは、そうかもしれねーぜ、竜」
 「――あれ? ホロホロたちも来たみたいだよ」
 まん太のその声で、オイラたちは近づいてくるホロホロたちに気付いた。
 遠目にもついつい目がいってしまうんは――アンナ。
 「おおー女将、やっぱ綺麗っすねー」
 竜のその言葉に、なぜかオイラはムッとした。いや、綺麗なんは分かっとるし否定なんかする気はねぇんだが……。
 たまおたちと笑いながらこっちにやってくるアンナに、鋭くまぶしい光がきらきらとあたる。ただでさえ薄い茶色の髪が、透けそうなほどに光を浴びていた。
 綺麗だ。本当に綺麗なんだ……が。
 分かった。
 オイラはそれを他の奴らに見られたくないんだ。だからこんなに、胸んとこがムカムカしてんだ。
 気付いてしまうと、余計にムカムカして、そんでよけいに情けなくなった。オイラの独占欲はどこまで広がっていくんよ。
 「――葉くん、大丈夫?」
 オイラはよっぽど変な顔をしていたらしい。まん太が心配そうにオイラの顔を見上げていた。
 「お、おお、すまん」
 オイラは無理に笑顔を作った。
 ――あんま、こんな独占欲だらけのオイラには気づいてほしくなかった。















懺悔。

えーと…何なんでしょう、コレは。

書きたかったのは、
元気を取り戻しかけたのに嫉妬に駆られ戸惑う葉さん。
(説明しなきゃならないもの書くなよ。)

とりあえず突っ込むべきは、
「葉さん、あんたどんな説明まん太にしたの。
大いなる謎です。