夏休み 8
「今日の晩飯のコロッケ、まずかったなぁ」
「なんかベチャベチャしてたよな」
「あんなもの、コロッケとは呼ばん」
「そっかー? オイラ思ってたより全然食えたけどな」
「それは貴様の味覚が変なのだ!」
オレたちはぶつぶつ言いながら(一人だけユルイ顔してる奴がいたが)、暗くなった浜辺で花火の準備をしていた。
ピリカたちがやりたいって言い出したことなんだが、何でオレらが準備してんだ? まぁこういうこたきらいじゃないからいいけどよ。
バケツを2個借りて、それぞれに水を張る。袋から花火を出す。でっけぇ打ち上げ花火とかはとりあえず後回しだ。ありゃ最後にドカンとやるもんだ。
こういうイベントは悪くねぇ。つうかむしろ好きだ。
昼間のスイカ割りん時もそうだったが、どうしても仕切りたくなっちまうんだな、これが。
それぞれ思い思いの花火を手にとって、火を付ける。
葉とまん太はいきなり線香花火に手を出してやがる。おいおい、なんでいきなり線香花火なんだ。違うだろ、ここは……
シュ――――ッと音がしたかと思うと、突然でかい花火がうち上がった。
「なに!?」
見ればチョコの野郎が打ち上げ花火を……。
あの野郎、イキナリ俺の計画をめちゃくちゃにしやがった!
「おいこらてめぇチョコラブ、そりゃ最後にやるもんだろが!」
「ああ? いいじゃねぇか、そんなこと」
「何だとテメェ!」
「あーもう、やめとけよお前らー」
葉のユルイ声が聞こえる。ああ、何だってコイツはこんなにゆりぃんだ。
「好きなもんやっちまった方が楽しいだろー」
「てこたぁ、お前はそのちっちぇえ線香花火が好きなわけだな?」
「ん、まぁそうだな。テキトーに掴んだだけだけどよ」
手の中の線香花火を見て、葉のやつがまじめな顔をして答える。
「あ、落ちちまった」
かーっ、コイツのユルさだけはどうにかならねぇのかよ!? もういいぜ、相手するだけ損だ。
オレがちょっと葉と話してるうちに、チョコと竜がドカドカと花火を打ち上げ始めてやがった。あ、あいつら……。
「待てぇ、オレの分も置いとけ!」
でっけぇ花火はあらかた打ち上げた後、オレは浜辺で寝ころんで、暗ぇ空を見上げていた。星が小さく光る。
うん、こういうのは悪くねぇ。悪くねぇぞ。
オレがこうして星を見上げている最中、あいつらは何やってんだろうかとふと気になる。うしろじゃまだまだ叫び声やらなんやらで騒がしい。
オレはチラリと振り返った。旅館からの光とかで、姿は判別出来る。
いちばん目に付くのは花火を持ってまん太を追いかけてるファウスト医師なんだが、(「やめてよファウストー」とか泣きそうな声も聞こえてくる。)まぁそこはいいとして。
ピリカのやつ、たまおちゃんと何やら楽しそうにしてやがる。ヒトに準備させやがって、呑気なやつめ。
……ん、でもまぁ、楽しんでんなら何よりだな。
勝手にゆるむ頬をそのままにして、騒がしい連中を見てたら。
ふたり、足りねぇことに気付く。
葉とそのヨメ。
くそっ、あいつらふたりでふけやがったのか!
よくよく考えりゃ、オレはあいつら一緒の部屋にさせねぇなんて言ってたが、結局さっきはケンカの仲直り(まん太が言うには)で一緒の部屋にいやがったし。
そういやよっぽどひでぇケンカだったのか、なかなか部屋から出てこなかったな。様子を見に行ってきたまん太の顔が青かったから、よっぽど激しかったんだろーが…。
で、何だ? 仲直りしたら即行ふたりで出かけるのかよ、あいつら。
ぶちぶち文句を言いたい気分になったが、ふと、そのふたりがこの場から消えたわけじゃねぇことに気付いた。
みんながいるかたまりからは外れてるが、この場で花火をしていた。まぁ気付かなかったのも無理はねぇほど距離を置いていた……つうか、なんか入りこめねぇ雰囲気を作ってやがったが。
葉が必死こいてヨメに頭下げてる姿が見える。何だあいつら、仲直りしたんじゃなかったのかよ。
アンナはじっと花火を見つめている。もしかしたら葉に何か言っているのかも知れねぇが、ここからじゃ会話までは聞き取れねぇ。(何よりまん太のやつがうるせぇ)
手に持つ花火が終わると、アンナはすっと立ち上がった。葉が慌てて後を追う。
ハハ、あのゆりぃ葉も、ヨメに関しちゃそうはいかねぇみたいだな。
葉がアンナの肩を掴むが、アンナの振り向きざまのビンタが葉の頬にヒットした。
おいおい、さすがにそりゃ可哀相だろ……と思ってみてたら、葉のやつはユルく笑ってヨメの手を握ってやがる。ヨメもヨメで、その手をふりほどこうともしていない。
なるホロ、葉が吹っ飛んでねぇあたりヨメも手加減してたんだろう。――が。
何だよ、あいつらケンカしてんのか、いちゃついてやがんのかどっちだ?
オレは軽く舌打ちする。
あきれて目を離そうとした、次の瞬間――葉のやつは、ヨメを引き寄せ…抱きしめやがった!
あ、あ、あいつら、ぜってぇ周りの目なんか気にしてねぇ!! つうかやっぱいちゃついてやがる!!!
くそっ、ダチの心配したオレは何なんだ! 結局あいつらはそうなんだよ、何も心配しなくても勝手に仲良くやってるやつらなんだ!!
くそう。
それ以上はとても眺める気になれず、オレはもう一度星空を見上げた。
オレだって…オレだっていつかきっと、かわいい彼女を見つけてやるんだっ!!
オレの決意と一緒に、ドッカーンと一発でかい花火がうち上がった。
懺悔
青春のホロにげぇ1ページ(か?)
何故かホロホロ視点。
友人のいちゃいちゃを見てしまうと、
自分の知らない顔を見たような気がしていたたまれなくなりません?(笑)
葉とアンナはこれで仲直りが出来たらしい。
いったいどういう経緯でかは不明。(笑)
どうしてビンタ? そしてどうしていちゃつく??
まん太は、葉とアンナが部屋にこもってたのはケンカ&その仲直りとごまかしたみたいです。
皆さん(特にホロ)、激しく騙されています。(笑)