夏休み 9



 翌朝。オイラたちは、帰り支度をすませてからもう一度海へ出た。
 案の定、アンナが水着を着てないことは不審がられたが、「ふたりで散歩行ってくる」とだけ言ったら、「ケッ」とか「やってらんねーぜ」とか色々言われただけで、深く追求されはせんかった。
 オイラとアンナは言葉通り、ふたりで散歩する。
 貝拾いっつーわけでもなかったが、ただ単にぶらぶらと、なるべく人の少ないところを歩く。朝も割と早いから、そうそう人もおらんかった。
 どちらからともなく手をつなぐ。
 アンナの手はちっちぇえから、オイラの手の中にすっぽりと収まる。アンナの体温を感じて、手のひらが暖かくて、温度が混ざって、とけあって。
 別に初めて手をつないだわけでもねぇのに、妙に嬉しかった。
 昨日はひとりで焦って、アンナに無理させて、んでもって怒らせちまったりしたけど…。
 仲直りして、今こうしてふたりで手をつないで歩いてる、これは大切な時間だと思った。こうしてアンナといられるだけで、すげぇしあわせだな。
 そう思ってアンナの方を見たときに、不意にオイラの付けた赤いアトを胸元に見つけちまって、ドキリとする。
 はっ、いかんいかん! こんなトコで変な気おこしたとバレたら、おやつぬき一週間では済まんくなる。
 「こうしてゆっくり歩くのも、久々かもね」
 突然言われて、心臓が跳ね上がった。
 「ぅ……そ、そうだな」
「何だかんだで楽しかったわね。スイカ割りも、花火も」
「…おお」
 オイラとしては、あまりスイカ割りの時は思い出したくないんだがな。
 まん太には開き直ったふうに言ったけど、やっぱあん時のオイラは普通じゃなかったよな……。
 「旅館はたいしたことなかったけどね。温泉は割と良かったけど」
「そっか」
 まぁ、何だっていいや。アンナが楽しかったんなら、それでいい。
 つなぐ手の力を少し強めると、アンナがオイラを見上げてきた。
 「……」
「? アンナ?」
「こうして大勢で来ると、あんたが楽しそうだから、あたしは嬉しいの」
「お? おお」
 自分のことなんだが、何か似たもの夫婦だと思っちまって、あっけにとられた。アンナの読心力、残ってんじゃねぇかと疑いたくなっちまう。お互い相手が楽しければそれで楽しいらしいな。
 「また、こういうことしたいわ」
「おお」
 オイラも。
 楽しかったもんな、海。いろいろ。(ケンカもしちまったけど。)
 「でもね」
 アンナは、オイラの手をギュッと握った。でもちっちぇえアンナの手はオイラの手に収まっちまってるから、そんなに力は入らん。そのかすかな指の動きが可愛くて、オイラはアンナの代わりにギュッと手を握る。
「あたしは、今度はあんたとふたりだけでどこかに行きたい」
「……!!」
 思わず手を離しちまいそうになるほど驚いた。
 頬をかすかに赤く染めてそんなこと……可愛すぎる!! 犯罪的だろ、コレは!!!
 「ぅ…おお、行こう、どっか!」
「ちょっ…葉! こんなとこで何すんのよっ」
 突然抱きしめたオイラの頬をパ――――ンッとひっぱたいて、アンナはスタスタと先へ行ってしまった。
 「ああ、待ってくれよ、アンナ〜〜〜〜〜」
「うるさいっ」
 うええええ、またケンカしちまった……(と言うより、一方的に怒らせちまった)
 自分自身、学習能力の無さには驚くが、アンナのことに関しちゃ仕方ねぇのも分かってる。オイラは相当の嫁バカらしい。
 「アンナ、どっか行こうな!」
 後ろ姿に声をかける。
 「保留よっ」
 アンナの叫び声が聞こえた。
 きっとオイラたち、ずっとこんなんの繰り返しなんだろうな。
 夏休み終わっても、変わらずケンカして、仲直りして。
 でもさっきの可愛いアンナを見れたんは、明らかにこの旅行にみんなで来たおかげだ。感謝したい気持ちを満面の笑みで表現しながら、オイラはアンナの後を追った。
 

 「しっかしあいつら、ところ構わずいちゃついてやがるよなぁ……」
「ここから丸見えだというのに……」
「昨日、花火の時も抱き合ってたぜ」
「ええ? 昨日は昼間も……」
「昼間?」
「あ、いや別に……」

 実は誰かがいようがいまいが、ほとんど変わっていないふたりだった。




END









懺悔

えーと…何か不消化のまま終わっちゃった感じで……。
ヤマもオチもなく、ひたすらユルくいい加減に終わりました。(苦笑)

本当はもっと色々書きたかったのですが。
きもだめしとか温泉とか。

でもこれ以上続けても夏は遠のいていく一方なので、とりあえず終わりとうことで…。
ここまでおつきあいして下さった皆さま、本当にありがとうございました。(ぺこり)



エロネタはもう済ましたので(笑)、最後は甘めの夫婦でした。
手つなぎネタは、しつこく四コマが残っているための模様です。(笑)
しばらくこのブームは続きそう。