宴会
「ああ、もう! あいつらうるさくてかなわないわ」
「んー、まァそう言うなよアンナ」
「お〜い、葉! こっち来ておまえも飲め!」
「未成年が酒を飲むな、ホロホロ!」
「おめぇはかたっくるしいんだよ、蓮」
「何だと貴様、やるか!」
「んだと〜!?」
「ああ〜 もう、やめろよお前ら〜」
「貴様はユルイのだ、葉!」
「止めに入るんじゃねぇ! こらっ、むりやり座らせんな」
「まぁまぁ」
「まったく、あいつら何だって連日どんちゃん騒ぎなのかしら」
「みなさんお疲れなんですよ…」
「あんたの仕事が増えたわね、たまお」
「ええ…。でもアンナ様もこうしてお料理手伝ってくださいますし…」
「…気が向いただけよ」
「フフッ ありがとうございます」
「笑ってんじゃないわよ。手を動かしなさい、手を」
「はい」
「お〜いアンナ…うおっ!? アンナが料理を…! 五目ずし以来だ」
「失礼ね。その後も何度か作ったでしょう」
「あ、葉様。もう少しでおつまみできますから」
「おお、すまんな、たまお」
「あんた、なんか用なの?」
「おお、えーと…いや、いいや。頑張って作ってくれな、アンナ」
「――何だったのかしら」
「さぁ…」
「なんだ、お前の嫁さんこねぇのか。どーせ料理もしてねぇんだからこっちきて飲みゃいいのに」
「いや、なんかそれが料理しとるんよ」
「ほう」
「明日ヤリでもふるんじゃねぇか…ってうおっ!?」
「ホロホロっ!」
「どっどこから包丁が…」
「アンナ…」
「おだまり。ヤリなど降るはずがないでしょう。せいぜいこの家にあるのはその包丁ぐらいよ。それでもくらってなさい」
「…す、すみません」
「ああ、イライラするわ、あいつら…。葉も葉だわ。連日連夜あいつらつれてきて…」
「ごめんね、アンナさん」
「あら、いたのまん太」
「…ごめんねかげが薄くて」
「――べつにあたしは、あいつが楽しければそれでいいんだけど。けど――」
「ははあ、ナルホド。アンナさんってば、葉君にかまってほしいんだね」
「おだまり、水まんじゅう」
「みっ…!?」
「ああ〜 もうオイラ飲めんよ。あとはお前らでやってくれ」
「そう言うなよ、葉〜」
「そうだ、貴様も飲め、葉」
「蓮、お前さっきと言ってることが…って、あっ、お前も飲んだんか、酒!」
「俺様は酒などのんでおらん! そこにあるジュースのみ!」
「こりゃカクテルだぞ。ソルティードッグって書いてあるだろう!」
「俺様にカタカナは通用しない!!」
「んなこと自慢できねーだろがよ、蓮! かっこわりぃ〜」
「ああもう、だれだ、ここに酒持ち込んだの…」
「すみマセン、私デス」
「ファウスト…」
「君タチが、未成年であることを忘れてマシタ。――竜クンでさえ未成年なのデスね」
「おお、忘れがちだけどな」
「本当にスミマセン。お水を持ってきマスね」
「いや、いいんよ。オイラが行く」
「おら〜水なんか飲まねぇぞ〜」
「のんどきなよ、ホロホロ」
「アンナー、水…」
「あっ、葉様。お水でしたらこのスルメといっしょに私が持っていきます」
「おお、すまん、たまお。オイラちょっと休むわ」
「あ、じゃあそこの椅子に…」
「おう、すまんな」
「――まったく、バカね。あいつらにつられて飲むからよ」
「ウェッヘッヘ やっぱマズかったなぁ」
「あんた、酔ってる?」
「んん〜? アンナがかわいいから、アンナに酔っちまったかもな〜」
「…完全に酔ってるわね、あんた」
「ウェッヘッヘ たしかに何言ってんだろなぁ、オイラ」
「もう…」
「でも、オイラ嘘は言ってねぇからな。饒舌になってるだけだ」
「それも、タチが悪いわ…」
「――んお? 何だ、アンナ。突然オイラの膝の上に座ったりして…」
「…あんたが構ってくれないから、けっこう寂しかったのよ?」
「おお すまん」
「わかってんのかしら…」
「お水、置いておきますね」
「スミマセン」
「おお〜? 葉はどうした、葉は」
「葉様なら台所の椅子に…」
「なにィ!? 逃げやがったか、あのやろう」
「よし、呼びに行くぞ、ホロホロ、まん太」
「蓮君…なんで乗り気なの…」
「うっしゃー! 待ってろよ〜葉!」
「ああっ、待って下さい、みなさん〜」
「!!」
「……っ」
「……」
「? どうかしたんですか?」
「しっ、あいつら、台所でいちゃついてやがる…」
「アンナさんが…葉君の膝の上に…」
「静かに! 会話が聞こえんではないか」
「――ぅ、寂しかったのよ?」
「おお すまん」
「わかってんのかしら…」
「わかってるさ。つまりこうしろってことだろ?」
「ちょっ、ちょっとっ! 誰が抱きしめてくれなんて言ったのよ」
「アンナ」
「言ってないでしょ!!」
「じゃ、オイラの願望?」
「…あたしに聞かないで頂戴」
「ウェッヘッヘ でもオイラ、こうしてるだけじゃもの足りんぞ」
「…つまり?」
「何だ、言って欲しいんか?」
「さあ」
「意地っ張りだなぁ、アンナは」
「何か文句ある?」
「いんや〜 そこがまたかわいいからオイラ困っちまうんよなぁ」
「おバカ」
「ウェッヘッヘ さぁ今日はどこから食おうかな〜」
「すけべ」
「お、お前ら…」
「んお?」
「お前ら、そんな恥ずかしい会話、いつもしてんのか?」
「うおっ 聞いてたんか?」
「はぁ〜酔いも覚めたぜ」
「葉、貴様、これだけは言っておく!」
「あ、蓮?」
「避妊にだけは気を遣え!」
「何言ってんだよ、蓮!」
「おお、さんきゅ〜。ちゃんと気を付けてるから、オイラたち」
「マジメに答えるな!!」
「葉…上…行きましょ?」
「んお? そりゃオイラとしては大歓迎だが…。何か積極的だな、アンナ」
「ねぇ、これ…もしかしてアンナさん飲んだんじゃ…」
「んお? …マルガリータ…。アンナっ、これっこれも酒だ!」
「知っているわ。マルガリータ…死んだ恋人から付けた酒の名――切ないわね。ファウストに似合いそうな酒…」
「いや、んな雑学披露せんでいいから」
「そレニ私はどちらかというとニコラシカの方ガ…」
「葉ぅ…いきましょ?」
「無視デスか」
「んじゃまぁ、」
「うわぁ、お姫様だっこ…」
「オイラたちは、ビットウィーン・ザ・シーツとしゃれ込むか」
「ビットウィーン何だって?」
「“寝床に入る”という意味のカクテルですヨ」
「うわあぁあぁ」
「布団、テキトーに敷いて寝てくれよ。オイラたち上にいるからな」
「あ、うん。おやすみ〜葉君…」
「おお、おやすみ」
「おやすみナサイ」
「――葉、あたし、寝たくない」
「もちろん、アンナはオイラが寝かさないからな。今夜は一晩中オイラに奉仕してもらうぞ」
「すけべ」
「ウェッヘッヘ 覚悟しとけーアンナ」
「――なんて会話してるのさ、ふたりとも…」
「丸聞こえではないか」
「くぅ〜 オレなんて彼女もいねぇのにィ〜」
「と言うか、そんなことより…」
「そんなこととは何だっ」
「それより、ねぇ、もし…あの二人の声…下まで聞こえてきたら…」
「…俺たちにとっては、悪夢だな」
「うっ!!うわぁぁぁああああ」
強制終了。
おまけ…。
「ん…葉…?」
「んお? 起きたんか、アンナ」
「ちょっ…何であんたが横にいるの!」
「つーか、ここオイラの部屋なんだが…」
「っ!?」
「覚えとらんのか?」
「…もしかして……したの?」
「そりゃまぁ…。オイラたち夫婦だし」
「おばかっ! あいつら来てるときくらい我慢なさい!!」
「んなこと言ったってよ〜アンナから誘ってきたんだぜ?」
「なっ……嘘!!」
「嘘じゃねぇよ。アンナ酔ってたから素直だったんだな。めちゃめちゃかわいい声で鳴いてたんよ?」
「こっ…拒みなさいよっ、酔ってたの知ってるなら!!」
「アンナ…お前、オイラがそんなことできると本気で思ってんのか?」
「…無理でしょうね」
無理なんだ、葉くん…。(まん太の呟き)
懺悔。
明らかに怪しい上の間。(笑)
SS…か?
単に「旦那の膝に座る嫁」が書きたかったがために、こんな長さにまでなった驚異の一品。
そしてわたしの酒好きが前面に出ています。
マルガリータの話は、少なくともわたしの読んだ本にはそう書いてありました。
後日談。
花くんの登場により、
彼らは一向に避妊に気をとめていなかったことが判明。